足部ポジションの違いは、スクワットの筋活動と力学応答をどう変えるのか
- 髙橋 大翔
- 1月27日
- 読了時間: 4分

スクワットにおいて「足の置き方」が筋活動や関節負荷に影響することは、トレーニング現場では経験的に知られています。しかし、その影響を筋電図・関節運動・床反力といった多角的な指標から定量的に評価した研究は多くありません。
今回紹介する研究内容は、足部ポジションのわずかな違いが、スクワット中の筋活動と力学応答をどのように変調させるのかを詳細に検討しています。
足の置き方が違うスクワットがどのように筋活動を変えるのか
被験者
抵抗トレーニング経験(平均8年)を有する健常成人男性12名
クロスオーバーデザイン(同じ被験者で期間を分けて比較検討)の前向き介入研究
足部ポジション条件
フラットヒール(FH)
かかと挙上(HE):足関節背屈が強調される条件
つま先挙上(FE):足関節が相対的に底屈位となる条件
実施種目
フロントスクワット
バックスクワット(両種目をすべての足部条件で実施)
評価指標
表面筋電図(大腿四頭筋群、ハムストリングス、下腿筋群など)
関節角度(特に膝関節・足関節)
床反力(垂直成分・前後成分)
姿勢安定性指標
大腿四頭筋は足部ポジションの影響を強く受ける

画像が大腿四頭筋(腿前)の筋肉になります。
そして足部のポジションの影響を最も受けるのは大腿四頭筋群でした。
外側広筋・内側広筋は
フラット(FH)
かかと挙上(HE)において、前足部挙上(FE)より有意に高い筋活動を示しました。
つま先を上げるより、フラットな状態か踵を浮かせる状態でのスクワットが筋活動を上げるということです。
特にこの差は、
バックスクワットの挙上局面で大きな効果量として確認されています。
また、大腿直筋(RF)も同様の傾向を示し、
バックスクワット挙上局面
フロントスクワット下降局面において、FH・HEがFEより高い筋活動を示しました。
床反力と関節運動の違い
垂直床反力
・FH・HE条件では、垂直床反力が高く→ より大きな縦方向の力発揮・機械的負荷が生じていました。
・FE条件では
膝屈曲が制限され
四頭筋および後鎖への力学的要求が低下
前後方向床反力
主にフロントスクワット下降局面で差が確認され
FE条件では前後方向の揺れがやや大きくなりました。
ただし、全体として姿勢安定性への影響は限定的であり、「著しく不安定になる」というレベルではありませんでした。
つま先を上げると膝の曲がる角度は減少するということです。
筋肉というのは「伸張刺激」が肥大に関与しますので、大腿四頭筋の発達を望む人は足はフラットor踵を浮かせる方法を推奨します。
影響は主に足関節と膝関節に集中
興味深い点として、
股関節の可動域
前額面(左右方向)の負荷
については、足部ポジションによる大きな差は認められませんでした。
つまり、足部ポジションの変更は、
全身フォームを大きく変えるというより
足関節〜膝関節周辺の力学環境と筋活動を局所的に調整する役割を果たしていると解釈できます。
各ポジションの特徴
かかと挙上(HE)
足関節背屈を促進
スクワット深度と体幹アライメントを保ちやすい
大腿四頭筋負荷を高めるセットアップ
前足部挙上(FE)
膝屈曲と機械的要求を抑制
四頭筋・背面の筋群ともに負荷が軽減
「負荷軽減ポジション」として機能
実際のスクワットへの応用
筋肥大・筋力向上が目的の場合
特に大腿四頭筋を狙うスクワットではフラットまたはかかと挙上が、前足部挙上よりも高い筋活動・垂直力を生みやすい。
足関節背屈が制限されているケース
可動域不足を理由にスクワット深度が制限される場合→ プレートやウエイトリフティングシューズによるかかと挙上は有効な選択肢。
負荷を一時的に抑えたい場面
膝関節や後鎖への負荷を軽減したい
疼痛管理・リハビリ初期段階
こうした状況では、前足部挙上ポジションが戦略的に使える可能性があります。
まとめ
本研究から示唆されるのは、足部ポジションは「フォームを大きく変えずに、荷重分配と筋活動を微調整できる実用的なレバー」であるという点です。
スクワットの効果を最大化するには、
個々の足関節可動域
関節の状態
トレーニング目的
これらを踏まえたうえで、足部ポジションを意図的に選択することが重要だと言えるでしょう。
引用文献
Bozkurt Ö, et al.Mechanobiological and neuromuscular responses to foot-position variations during front and back squat exercises.Frontiers in Physiology. 2026;16:1727141.
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