チームスポーツ選手でも栄養知識は十分ではない?920人を調査した研究から考える「スポーツ栄養」の重要性
- 髙橋 大翔
- 2 時間前
- 読了時間: 6分

札幌市豊平区中の島にあるパーソナルジムR. Physio labです!
今回はアスリートの栄養に関してです!
「アスリートなら栄養について詳しいはず」
そう思う人も多いかもしれません。
しかし、2026年に発表された研究では、チームスポーツ選手920人の栄養知識を調査した結果、全体として十分な知識を持っている選手は少ないことが明らかになりました。
特に、「スポーツ栄養」「微量栄養素」「サプリメント」に関する知識が低かったことが特徴です。
今回は、この研究からアスリートに必要な栄養知識について考えてみます。
920人のチームスポーツ選手を調査
研究対象となったのは、18〜40歳のチームスポーツ選手920人です。
競技は
ゲーリックフットボール
ハーリング/カモギー
ラグビー
サッカー
など。
そのうち343人がエリート選手、577人が非エリート選手でした。
選手の栄養知識は、「Nutrition for Sport Knowledge Questionnaire(NSKQ)」という87項目の質問票を使って評価されました。
栄養知識の平均点は約50%
選手全体の栄養知識の平均得点は**50.4%**でした。
研究では、この結果は「平均的」と評価されています。
しかし、注目すべきなのはその内訳です。
実際には、89.8%の選手が「不十分」または「平均」の範囲にとどまりました。
「良好」以上の知識を持っていた選手は8.3%、「非常に良好」はわずか2%でした。
つまり、
競技を続けているからといって、栄養について十分な知識が身についているとは限らない
ということです。
特に弱かったのが「サプリメント」
分野別に見ると、知識の差がさらに明確になります。
分野 | 平均得点 | 評価 |
体重管理 | 約57% | 平均 |
三大栄養素 | 約55% | 平均 |
微量栄養素 | 42.77% | 低い |
スポーツ栄養 | 46.93% | 低い |
サプリメント | 35.42% | 最も低い |
アルコール | 約61% | 平均 |
特に低かったのがサプリメントに関する知識でした。
サプリメントは「飲めばパフォーマンスが上がる」というイメージを持たれやすい一方で、実際には
どの成分に効果があるのか
どの程度の量が必要なのか
どのタイミングで摂るのか
本当に自分に必要なのか
禁止物質が含まれていないか
などを判断する必要があります。
知識が不足した状態でサプリメントを選ぶことには注意が必要です。
「エリート選手なら栄養に詳しい」は本当?
今回の研究では、エリート選手は体重管理やスポーツ栄養の一部で、非エリート選手よりやや高い得点を示しました。
しかし、総合的な栄養知識には大きな差がありませんでした。
これは重要なポイントです。
競技レベルが高いからといって、栄養学の知識まで自然に身につくわけではありません。
トレーニング能力と栄養学の知識は、別々に身につける必要があります。
「知っている」と「実際にできる」は別
今回の研究で測定されたのは、あくまで栄養知識です。
実際にどんな食事をしているのか、栄養知識が高い選手ほど競技パフォーマンスが高いのかまでは、この研究では直接検証されていません。
ここは非常に重要です。
例えば、「タンパク質が重要だと知っている」
ことと、「毎日必要量を安定して摂取できている」
ことは別問題です。
さらに、「試合前に炭水化物が重要だと知っている」
ことと、「実際の試合前に適切な量とタイミングで摂取できる」
ことも同じではありません。
したがって、アスリートへの栄養教育では、単に知識を教えるだけではなく、実際の食生活に落とし込むところまでサポートすることが重要だと考えられます。
64%の選手が栄養専門家にアクセスできていなかった
この研究では、74.9%の選手が「所属チームから栄養情報や管理栄養士へのアクセスを提供してほしい」と回答しました。
一方で、64.3%の選手は、実際には栄養情報や管理栄養士・栄養士へのアクセスがないと回答しています。
つまり、「栄養サポートが必要」と感じている選手は多いにもかかわらず、実際のサポート体制にはギャップがあるということです。
選手が特に求めていたのは
トレーニングや競技に直結する栄養情報
自分自身に合わせた個別の栄養相談
でした。
これは非常に合理的なニーズです。
「健康的な食事をしましょう」という一般論だけではなく、
「この競技で、この練習量なら、何を・いつ・どのくらい食べるのか」
まで具体化する必要があります。
アスリートに必要なのは「栄養の一般知識」だけではない
スポーツ選手の栄養では、一般的な健康維持の栄養学に加えて、競技特有の問題を考える必要があります。
例えば、
トレーニング前
運動中に十分なエネルギーを発揮できるよう、食事量や炭水化物の摂取を考える。
トレーニング後
筋肉の修復やグリコーゲン回復を考えて、タンパク質や炭水化物を確保する。
試合前
消化器症状を避けながら、必要なエネルギーを確保する。
試合中
競技時間や発汗量に応じて、水分・電解質・エネルギーを補給する。
休養日
トレーニング量に合わせてエネルギー摂取量を調整する。
このように、同じ「健康的な食事」でも、競技・トレーニング量・試合スケジュールによって最適な食事は変わります。
栄養知識は「パフォーマンスの土台」
今回の研究から、「栄養知識が低いからパフォーマンスが低い」と断定することはできません。
しかし、アスリートが自分の身体を最大限に活用するためには、トレーニングだけでなく栄養についても基本的な知識を持つことが重要です。
特に今回の研究では、微量栄養素スポーツ栄養サプリメント
の3分野が弱かったことが明らかになりました。
この部分は、自己流の情報収集だけではなく、スポーツ栄養の専門家から正確な情報を学ぶ価値がある領域です。
まとめ
今回の研究では、920人のチームスポーツ選手を調査した結果、栄養知識は全体として「平均」程度でした。
しかし、約9割の選手が「不十分」または「平均」の範囲にとどまり、特にサプリメント、スポーツ栄養、微量栄養素に関する知識が不足していました。
また、エリート選手だからといって、総合的な栄養知識が必ずしも高いわけではありませんでした。
アスリートにとって重要なのは、単に「栄養について知っていること」ではありません。
自分の競技・トレーニング量・身体状態に合わせて、実際の食事に落とし込めること。
そのためには、選手自身の学習だけでなく、チームとして管理栄養士やスポーツ栄養の専門家にアクセスできる環境を整えることも重要です。
強くなるためのトレーニングと同じように、「何を食べ、いつ食べ、どのくらい摂るか」を学ぶことも、アスリートのパフォーマンスを支える重要な準備の一つと言えるでしょう。
参考文献
Nutritional knowledge of team sport athletes.Journal of Nutritional Science. 2026;15:e39.
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