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食べる速さで体重は変わる?56万人の日本人を調べて分かった「早食い」と長期的な体重の関係

10 分前
読了時間: 9分

「早食いすると太りやすい」

一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?


ダイエット中に、もっとゆっくり食べたほうがいいですよと言われた経験がある人もいるかもしれません。


実際、これまでの研究でも、食べるスピードが速い人ほどBMIが高く、肥満が多いという関連は繰り返し報告されています。


しかし、これまでの研究には一つ問題がありました。

それは、「ある時点の体重」だけを調べた研究が多かったこと。


20代で太っている人と、20代から40代まで長期間太っている人では、同じ「肥満」でも意味が違いますよね。


そこで2026年の研究では、56万人以上の日本人の長期的な体重履歴と食べるスピードの関係を調べました。


すると、早食いと肥満だけではなく、「遅食いと低体重」にも反対方向の関係があることが分かってきました。


56万人以上の日本人を調査

今回の研究では、日本の健康保険加入者の健康診断データが使用されました。

対象となったのは、564,198人。


内訳は

女性:184,262人

男性:379,936人

です。


さらに、一度健康診断を受けただけの人ではありません。

研究では、少なくとも5回以上の健康診断記録がある人が対象になっています。


平均的な追跡期間は約6〜7年間でした。

そのため、「今のBMIがいくつなのか?」だけではなく

「長期間にわたって、どのような体重状態だったのか?」を見ることができました。



まず20代の体重から3グループに分類

研究者は20〜29歳のBMI記録から、参加者を大きく3つに分類しました。


低体重歴あり

BMI 18.5未満になった記録がある人。


普通体重のみ

20代の健康診断で、BMI 18.5以上25未満を維持していた人。


肥満歴あり

BMI 25以上になった記録がある人です。


ここでいう「肥満」は、日本で一般的に使われているBMI 25以上という基準です。


さらに「どのくらい長くその状態だったか」を調べた

今回の研究が面白いのはここです。

例えば同じ「肥満歴あり」でも、一時的にBMI 25を超えただけの人と

長期間BMI 25以上だった人では分けて考えました。


健康診断で肥満または低体重だった割合によって

0〜25%

25〜50%

50〜75%

75〜100%

の4段階に分類しています。


つまり「太っていたことがあるか?」だけではなく、「どの程度持続していたか?」

まで考慮したわけです。


そして「食べる速さ」を調べた

健康診断の質問票では、「人と比較して食べる速度が速いですか?」

という自己申告による食事速度も記録されています。


回答は

速い

普通

遅い

の3段階です。


研究者は20代の最初の健康診断で回答した食事速度と、その後の長期的な体重履歴との関係を調べました。


結果|肥満が長く続く人ほど「早食い」が多かった

まず肥満側の結果です。

20代に普通体重だった人を基準にすると、長期間肥満だった人ほど「自分は早食い」と回答している割合が高くなっていました。


特に、健康診断の75〜100%で肥満だったグループでは、その関連がかなり明確でした。

女性では、早食いであるオッズが1.47倍。

男性では、2.40倍でした。


つまり男性では、長期間肥満状態だったグループほど、普通体重群と比べて「早食い」と回答する傾向がかなり強かったということです。


「肥満かどうか」だけではなく段階的に関連していた

さらに重要なのが、Dose-dependent(ドーズ・ディペンデント:用量依存的)

な関係がみられたことです。


少し難しい言葉ですが、簡単に言えば、肥満状態でいる割合が高くなるほど、早食いとの関連も段階的に強くなったということです。


例えば

肥満だった期間が少ない

早食いとの関連も比較的小さい


肥満だった期間が増える

早食いとの関連が強くなる


長期間肥満

早食いとの関連がさらに強い


という傾向です。


単純に、「肥満の人には早食いが多かった」だけではなく、長期的な肥満の程度と食べる速さが段階的に対応していたところが今回の研究の興味深い点です。


さらに面白いのが「低体重」の結果

これまで、早食いと肥満の関係はかなり研究されてきました。

しかし今回の研究では、反対側の「低体重」にも注目しています。


すると、肥満とは鏡合わせのような結果が出ました。

長期間低体重だった人ほど、「自分は食べるのが遅い」と回答する傾向が強かったのです。


長期間低体重の人は「遅食い」が約2倍


健康診断の75〜100%で低体重だったグループでは、普通体重群と比較して「遅食い」であるオッズが、

女性:1.89倍

男性:2.45倍

でした。


こちらも

低体重だった割合が高くなる

遅食いとの関連が強くなる


という段階的な関係が確認されました。


つまり今回の結果を非常にシンプルにすると

長期的な肥満 ← 早食い

長期的な低体重 ← 遅食い

という、反対方向の関連がみられたわけです。



実際、早食い・遅食いはどのくらいいた?


20代の体重履歴で大きく分類したデータを見ると、さらに分かりやすくなります。

女性の場合、早食いと回答した割合は

低体重歴あり:17.5%

普通体重のみ:24.0%

肥満歴あり:29.4%

でした。


男性では

低体重歴あり:19.6%

普通体重のみ:32.7%

肥満歴あり:48.2%

です。


反対に「遅食い」と回答した割合を見ると

女性では

低体重歴あり:24.9%

肥満歴あり:13.4%


男性では

低体重歴あり:21.6%

肥満歴あり:6.2%

でした。

かなりきれいに反対方向の傾向が確認されています。


食べる速さは「習慣」になっている可能性も


もう一つ面白い結果があります。

研究者は、最初に回答した食事速度が、その後もどの程度続いていたのかも調べています。


長期間肥満だったグループで「早食い」と回答していた人では、その後も早食いと回答していた割合が

女性:約72%

男性:約80%

でした。


一方、長期間低体重だったグループで「遅食い」と回答していた人では、その後も遅食いと回答していた割合が

女性:約73%

男性:約68%

でした。


つまり、食べるスピードは一時的なものではなく、比較的長期間続く食習慣である可能性があります。


なぜ「早食い」は肥満と関係するの?


ここからは、今回の研究そのものが因果関係を証明したわけではないことを前提に考える必要があります。


これまでの研究では、食べる速度が速い人では、満腹感を感じる前に多く食べてしまう可能性

などが指摘されています。


食事を始めてから

食べる

胃腸に食べ物が入る

さまざまな満腹シグナルが生じる

脳が満腹感を認識する

までには一定のプロセスがあります。


そのため食事速度が速いと、満腹感が十分に形成される前に摂取量が増える可能性があります。


ただし、今回の研究では摂取カロリーや満腹ホルモンを直接測定して「これが原因だ」と証明したわけではありません。

あくまで、早食いと長期的な肥満状態との関連を示した研究です。


では「遅く食べれば痩せる」の?


ここが最も注意したいところです。

今回の結果だけを見ると、「じゃあ、ゆっくり食べれば痩せるんだ」

と思うかもしれません。


しかし、今回の研究からそこまでは言えません。

なぜなら今回の研究は、介入試験ではないからです。


研究者が参加者を

早食いグループ

普通グループ

遅食いグループ

にランダムに分けて、


「10年間追跡したら体重がどうなったか?」

を調べたわけではありません。


実際の健康診断データから、食事速度と体重履歴の関連を調べた観察研究です。


したがって

早食い

肥満になった


可能性だけではなく

肥満につながる生活習慣

早食いも多い

という可能性もあります。


あるいは

体格・食欲・生活環境などの別の要因が、食事速度と体重の両方に影響している可能性

もあります。


朝食抜きや夜遅い食事よりも関連が一貫していた


今回の研究では、食事速度だけを調べたわけではありません。

健康診断の質問票から

朝食欠食

夜遅い時間の食事

不規則な食事時間

などについても調べています。


興味深いことに

長期的な体重履歴との関係は、食事速度でより一貫していました。


さらに

年齢

睡眠

運動習慣

身体活動量

歩行速度

などを統計的に調整しても関連は残りました。


不規則な食事時間を追加で調整しても、結果は大きく変わりませんでした。

つまり、単純に「早食いの人は食事時間も不規則だから」というだけでは説明しきれなかった

ということです。


ダイエット中の人はどう活かせばいい?


今回の研究から

「1口30回噛めば痩せる」

「食事は必ず20分以上かける」

といった具体的なルールが導き出されたわけではありません。


この研究では、何分で食べればいいかを調べていないからです。


ただ

普段から周囲の人よりかなり早く食べる

食事をほとんど噛まずに飲み込む

満腹になる前に一気に食べてしまう

という人なら


自分の食事速度を見直すことは一つの選択肢

になるでしょう。


例えば

よく噛んで食べる

一口ごとに箸を置く

食事を急いで流し込まない

食事にある程度の時間を確保する

などです。


ただし、これらは今回の研究で直接検証された減量法ではありません。

「遅食いだから太れない」と決めつけることはできません。


まとめ|「早食い=太る」だけではなかった

今回の研究では、564,198人の日本人の健康診断データを使い、

食べるスピードと長期的な体重履歴との関係を調べました。


その結果、肥満状態が長期間続いている人ほど、早食いとの関連が強くなる

ことが分かりました。


健康診断の75〜100%で肥満だった人では、普通体重群と比較した早食いのオッズが

女性:1.47倍

男性:2.40倍

でした。


一方で、低体重状態が長期間続いている人ほど、遅食いとの関連が強くなる

という反対方向の関係も確認されました。


健康診断の75〜100%で低体重だった人では、遅食いのオッズが

女性:1.89倍

男性:2.45倍

でした。


さらに食べるスピードは、その後の健康診断でも比較的維持されていました。

つまり今回の研究から見えてきたのは、食べるスピードは単なる「食べ方のクセ」ではなく、長期的な体重状態と関連する行動特性の一つかもしれない


ということです。


ただし

早食いだから太った

遅食いだから痩せている

と因果関係を断定することはできません。


そして、「ゆっくり食べれば食べるほど健康」というわけでもありません。

体重管理では、何を食べるかどのくらい食べるかどのくらい動くかだけでなく


「自分は普段どのくらいの速さで食べているのか?」にも一度目を向けてみる。

今回の56万人規模の研究は、そんな食事行動の重要性を示す結果と言えそうです。


参考文献

Iizuka K.Self-Reported Eating Speed Is Dose-Dependently and Bidirectionally Associated with Long-Term Underweight- and Obesity-Related Weight-History Groups.Nutrients. 2026;18(15):2412.doi:10.3390/nu18152412.PMID: 42588035.



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