軽めの重量でも筋肉は大きくなる?「広い可動域」で行うトレーニングの検証結果とは
- 髙橋 大翔
- 2 日前
- 読了時間: 5分
更新日:3 時間前

札幌市豊平区中の島にあるパーソナルジムR.Physio labです!
今回はトレーニングの可動域に関しての解説をしようと思います!
「筋肉を大きくするなら、重い重量を使ってフルレンジで動かすべき」
筋トレでは、このように考える方も多いのではないでしょうか。
もちろん、フルレンジのトレーニングは筋肥大を狙ううえで有効な方法です。
しかし、2026年に発表された研究では、比較的軽い重量でも、筋肉が長く伸ばされた位置でパーシャルROMを行うことで、高重量のフルROMと同程度の筋肥大が得られる可能性が示されました。
今回は、「長い筋長で行うパーシャルROM」が筋肉にどのような変化をもたらしたのか、わかりやすく解説します。
広い可動域でのトレーニング効果とは
研究には45名が参加し、8週間にわたって膝伸展運動を行いました。
参加者は、膝を動かす範囲とトレーニング強度が異なるグループに分けられました。
短い筋長でのパーシャルROM
膝関節の角度は0〜50°。
負荷は80%1RMでした。
膝を伸ばした位置に近い範囲を中心に動かすため、大腿四頭筋は比較的短い状態でトレーニングされます。
長い筋長でのパーシャルROM
膝関節の角度は40〜90°。
負荷は55%1RMでした。
膝を深く曲げた位置を中心に動かすため、大腿四頭筋が長く伸ばされた状態で負荷がかかります。
高強度のフルROM
膝関節の角度は0〜90°。
負荷は80%1RMでした。
膝を伸ばした位置から深く曲げた位置まで、全可動域を使ってトレーニングしました。
筋肉の厚さはどう変わったのか
筋肉の大きさは、筋厚を測定して評価しました。
結果として、
長い筋長で行ったパーシャルROMと、高強度のフルROMでは、筋肥大に大きな差はみられませんでした。
一方、短い筋長で行ったパーシャルROMは、長い筋長で行ったパーシャルROMやフルROMより、筋肥大の効果が小さい結果となりました。
つまり、単に「可動域を狭くする」ことが重要なのではなく、どの位置で筋肉に負荷をかけるか
が重要だったと考えられます。
筋束長は長い筋長でより大きく増加
今回の研究で特に注目されたのが、筋束長の変化です。
筋束とは、筋肉を構成する筋線維が束になった構造のことです。
筋束長が長くなることは、筋肉の構造的な適応の一つと考えられています。
結果は、長い筋長で行ったパーシャルROMが、フルROMや短い筋長でのパーシャルROMよりも大きな筋束長の増加を示しました。
フルROMでも筋束長は増加しましたが、長い筋長でのパーシャルROMほどではありませんでした。
この結果から、筋肉が伸ばされた位置で負荷をかけることは、筋肉の構造的な変化に特に有利な可能性があります。
なぜ長い筋長でのトレーニングが有利なのか
筋肉が伸ばされた状態では、筋肉が発揮する力だけでなく、筋肉や腱などの組織に生じる受動的な張力も大きくなります。
そのため、筋肉に加わる刺激が増え、筋肥大や筋束長の変化につながる可能性があります。
ただし、今回の研究だけで「筋肉が伸ばされた位置での刺激が最も優れている」と断定することはできません。
今回の結果は、長い筋長でのトレーニングが筋肥大や筋構造の適応に有利である可能性を示したものです。
フルROMは必要ないのでしょうか?
今回の結果は、「フルROMは不要」という意味ではありません。
高強度のフルROMでも、長い筋長でのパーシャルROMと同程度の筋肥大が得られました。
フルROMには
・広い可動域で筋肉を刺激できる
・関節の動きを維持しやすい
・動作全体の筋力を高めやすい
といったメリットがあります。
そのため、基本はフルROMを行いながら、目的や体の状態に合わせて長い筋長でのパーシャルROMを取り入れる方法が現実的でしょう。
脚トレではどのように活用できるでしょうか?
今回の研究は膝伸展運動を使っているため、スクワットやレッグプレスにそのまま当てはめることはできません。
ただし、実践では
・レッグエクステンションで膝を深く曲げた位置を中心に動かす
・レッグプレスで深い位置を丁寧に使う
・スクワットで安全にコントロールできる範囲まで深くしゃがむ
といった方法が考えられます。
重要なのは、単に浅い可動域で反復することではありません。
筋肉が長く伸ばされた位置で、適切な負荷をかけることがポイントです。
まとめ
今回の研究では、
・55%1RMの比較的軽い負荷でも、長い筋長でパーシャルROMを行うと、高強度フルROMと同程度の筋肥大が得られた
・長い筋長でのパーシャルROMは、筋束長の増加でフルROMより有利だった
・短い筋長で行うパーシャルROMは、筋肥大の効果が小さかった
という結果が示されました。
筋肥大を狙う場合、「重い重量を使うか」「フルROMで行うか」だけではなく、筋肉がどの長さで負荷を受けているかにも注目する価値がありそうです。
ただし、今回の研究は8週間の膝伸展トレーニングを対象とした研究です。
すべての筋肉やトレーニング種目に同じ結果が当てはまるとは限らないため、今後の研究も必要です。
引用文献
McMahon G, Morse C, Burden A, Winwood K, Onambele-Pearson G. Moderate Intensity Resistance Training With Partial Range-of-Motion at Long Muscle Lengths Elicits Similar Hypertrophy and Architectural Adaptations as High Intensity Resistance Training Using Full Range-of-Motion. Journal of Strength and Conditioning Research. 2026. DOI: 10.1519/JSC.0000000000005561.
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