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急速な減量は本当にリバウンドしやすい?52週間のランダム化比較試験が示した「早く痩せる」ことの意外な結果




「ダイエットはゆっくり痩せたほうがいい」

「急激に体重を落とすと、結局リバウンドする」

こうした話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?


確かに、自己流で極端に食事を減らすようなダイエットには注意が必要です。


しかし2026年に発表された52週間のランダム化比較試験では、専門的に管理された急速減量プログラムは、緩やかな減量よりも1年後の体重減少が大きく、肥満関連リスクの低い体格目標に到達した人も多かったことが報告されました。


今回は「急速減量=悪い」というイメージについて、実際にどんな減量方法が行われたのかまで含めて解説します。


284人を「急速減量」と「緩徐減量」に分けて比較

対象となったのは、BMI 30kg/m²以上の肥満成人284名。

そのうち約90%が女性でした。


参加者は、

・急速減量群:142名

・緩徐減量群:142名

にランダムに分けられました。


最初の16週間で減量を行い、その後は両グループとも同じ36週間の体重再増加予防プログラムに移行しました。


つまり、「16週間の減量+36週間の維持・追加減量」

を合わせて、合計52週間追跡した研究です。


急速減量って、実際どのくらい食事を減らしたの?

ここが非常に重要です。

急速減量群では、最初の16週間に段階的なエネルギー制限を行いました。


1〜8週目

1日1,000kcal未満

9〜12週目

1日1,300kcal未満

13〜16週目

1日1,500kcal未満


というプログラムです。

かなり大きなエネルギー制限ですよね。


一方、緩徐減量群では、

推定される1日の総消費エネルギーから800〜1,000kcalを減らす

という設定でした。


緩徐減量群の自己申告による平均摂取量は、約1,400kcal/日でした。


ただし「1,000kcal未満を自己流でやった」研究ではない

ここは今回の研究を理解するうえで、最も注意したい部分です。

「じゃあ1日1,000kcal以下にすればいいんだ!」

という話ではありません。


今回の急速減量は、専門職が関与した構造化された食事プログラムです。


さらに最初の16週間は、毎週、対面でのグループ減量セッションが実施されました。

食事内容についても、単純にカロリーだけを減らしたわけではありません。


ノルウェーの食事ガイドラインをベースとして、

・野菜

・果物

・全粒穀物

・低脂肪乳製品

・魚

・卵

・赤身肉

・その他のタンパク質食品

などを中心にしながら


・飽和脂肪

・添加糖

を抑えるよう指導されていました。


つまり今回検証されたのは

「自己流のクラッシュダイエット」ではなく、「管理された急速減量プログラム」

です。


16週間で終わりではない。その後36週間もサポート

さらに重要なのがここです。

急速減量というと

「短期間で一気に痩せる」

「ダイエット終了」

「元の食事に戻る」

「リバウンド」

というイメージがありますよね。


しかし今回の研究は違います。

16週間の減量期間が終了したあと、両群とも、36週間の体重再増加予防プログラムに移行しました。


最初の3カ月間は2週間ごとの対面グループミーティング。

その後5カ月間は月1回のミーティング、またはウェビナー・ビデオ・電話などによる個別フォローが行われました。


カロリーもいきなり元に戻していない

急速減量終了後に

1,000〜1,500kcal

いきなり以前の食事量

に戻したわけでもありません。


維持期の最初の1カ月は、

1日の摂取エネルギーを100〜300kcalずつ増やし、体重が安定するポイントを探す

という方法が取られました。


その後も体重変化に応じて摂取エネルギーを調整しています。

つまり

減量

段階的に食事量を増やす

体重が安定する摂取量を探す

継続的にフォローする

というところまでプログラム化されていたわけです。

ここは「急速減量=リバウンドする」と考えるうえで、非常に重要なポイントでしょう。


実際、16週間でどのくらい痩せた?

最初の16週間終了時点では

急速減量群

−12.9%

緩徐減量群

−8.1%

でした。

群間差は4.8ポイント。


例えば体重100kgの人なら、単純計算では

急速減量:約12.9kg減

緩徐減量:約8.1kg減

くらいの違いです。

当然ながら、最初の16週間では急速減量群のほうが大きく体重を落としていました。


では1年後はどうなった?

「最初だけ急速減量群が痩せて、結局リバウンドしたのでは?」

と思うかもしれません。


ところが52週間後の平均体重減少率は

急速減量群

−14.4%

緩徐減量群

−10.5%

でした。

差は3.9ポイントです。


つまり、急速減量群で得られた大きな体重減少は完全に消えておらず、1年後でも緩徐減量群より大きな減量幅が維持されていました。


「急速減量=必ずリバウンド」は本当?

今回の結果だけを見ると、「急速に痩せたら必ず大きくリバウンドする」という単純な考え方は支持されません。


少なくとも1年間では、急速減量群が緩徐減量群より悪い結果になったわけではありません。

むしろ、


急速減量

最初に大きな減量を達成

その後も継続的な体重管理

1年後も大きな減量幅を維持

という結果でした。


ただし、ここで重要なのは、「減量速度だけ」が結果を決めたとは限らない

ことです。


今回の参加者は減量後も36週間にわたって継続的なサポートを受けています。

したがって、「短期間で体重を落とせば、あとは何もしなくてもリバウンドしない」

という研究ではありません。


この研究は「何kg痩せたか」だけを見ていない

今回の研究で面白いのが、treat-to-targetという考え方です。

日本語にすると「目標値まで治療する」というイメージです。


一般的なダイエットでは、「体重の5%減を目指しましょう」など、減量率を目標にすることがあります。


しかし今回注目されたのは、「何%痩せたか?」

だけではなく、「肥満関連疾患のリスクが低いと考えられる体格まで到達できたか?」

という視点です。


BMI 27以下になった人は?

BMIは

「体重÷身長²」

で計算する肥満度の指標です。


今回の研究では、

BMI 27kg/m²以下

が一つの目標として設定されました。


1年後に達成できた人は

急速減量群

28.3%

緩徐減量群

9.7%

でした。


つまり急速減量群では約3割が到達したのに対して、緩徐減量群では約1割でした。


「ウエスト・身長比」でも差が出た

もう一つ評価されたのが、

ウエスト・身長比(WHtR)

です。


計算方法は簡単で

「腹囲÷身長」

です。


例えば、身長170cm腹囲85cmなら

85÷170=0.50

です。


今回の目標は、WHtR 0.53以下でした。


1年後の達成率は

急速減量群

33.0%

緩徐減量群

18.4%

でした。


こちらも急速減量群のほうが多くの人が目標に到達しました。


なぜ「何%痩せたか」だけではダメなの?

例えば体重100kgの人が5%減量すると

100kg

95kg

になります。


もちろん5kgの減量にも健康上のメリットは期待できます。

しかし、その人の身長や腹囲によっては、まだ肥満関連疾患のリスクが高い状態かもしれません。


そこで今回の研究では、「5%痩せたから成功」だけではなく

「健康リスクが低いと考えられる体格まで到達できたのか?」

を見る考え方が採用されています。

これがtreat-to-targetです。


じゃあ、みんな急速減量したほうがいい?

ここは慎重に考える必要があります。

今回の結果から、「肥満の人は全員1,000kcal未満にすべき」とは言えません。


特に、1,000kcal/日未満

というエネルギー摂取はかなり低い設定です。

自己流で行えば


・必要な栄養素が不足する

・筋肉量が減少する

・体調を崩す

・食行動が乱れる

・継続できなくなる

といった問題が起こる可能性があります。


今回の研究で評価されたのは、

専門的に管理された構造化プログラム

です。

ここを切り離して「急速減量は安全」と解釈するべきではありません。


この研究の限界も知っておこう

今回の研究には注意点があります。

まず、284名のうち257名、約90%が女性でした。

そのため男性でも同じ結果になるかは、まだ慎重に考える必要があります。


また、追跡期間は52週間です。

つまり、3年後5年後10年後

まで体重を維持できるかは、この研究からは分かりません。


さらにBMI 27以下やWHtR 0.53以下は、肥満関連合併症のリスク低減と関連する「体格上の目標」です。


今回の試験そのものが、糖尿病が何%減った心筋梗塞が何%減った

という実際の疾患発症を証明したわけではありません。


「急速減量=悪」ではなく、減量後まで設計することが重要

今回の研究から見えてくるのは、「ゆっくり痩せるか、早く痩せるか」

だけでダイエットの良し悪しを判断するのは難しいということです。


今回の急速減量群では

1〜8週:1,000kcal未満

9〜12週:1,300kcal未満

13〜16週:1,500kcal未満

その後36週間の体重再増加予防

100〜300kcalずつ摂取量を戻す

体重変化に応じて再調整


という一連の流れが組まれていました。

つまり重要なのは、「どう痩せるか」だけではなく、「痩せたあとをどう管理するか」まで設計することなのかもしれません。


まとめ

今回の52週間のランダム化比較試験では、肥満成人284名を対象に急速減量と緩徐減量を比較しました。


急速減量群では最初の16週間

1〜8週:1,000kcal/日未満

9〜12週:1,300kcal/日未満

13〜16週:1,500kcal/日未満

という構造化された食事プログラムを実施しました。


その後は両群とも36週間の体重再増加予防プログラムを受けています。

1年後の体重減少率は

急速減量:−14.4%

緩徐減量:−10.5%

でした。


さらに

BMI 27以下の達成率

急速減量:28.3%

緩徐減量:9.7%


WHtR 0.53以下の達成率

急速減量:33.0%

緩徐減量:18.4%

となりました。


つまり

「急速に痩せると必ずリバウンドする」

とは言い切れない結果です。

ただし今回の急速減量は、自己流の極端な食事制限ではありません。


専門的なサポートを受けながら大きく体重を落とし、その後も36週間かけて食事量と体重を管理しています。


そのため、この研究から学ぶべきことは、「とにかく早く痩せよう」ではなく、


「適切に管理された減量なら、初期に大きく体重を落とすことも有効な選択肢になり得る。そして減量後の維持まで含めて設計することが重要」

ということでしょう。


参考文献

Rapid versus Gradual Weight Loss for Reducing Risk of Obesity-Related Complications: A Treat-to-Target Analysis of an RCT.

European Congress on Obesity(ECO 2026), Istanbul, 2026.


※本研究結果はECO 2026で発表されたランダム化比較試験の報告に基づいており、長期的な安全性や疾患発症への影響については、さらなる追跡研究が必要です。


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