シトルリンマレートは運動パフォーマンスを高める?
- 髙橋 大翔
- 9 分前
- 読了時間: 6分

「シトルリンを飲むと筋トレのパフォーマンスが上がる」
そんな話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
シトルリンマレート(CM)は、トレーニング前に摂取されることが多いサプリメントの一つです。
では実際に、科学的にはどのくらい効果があるのでしょうか?
2026年に発表された系統的レビュー・3層メタ解析では、シトルリンマレートと運動パフォーマンスについて、30件のランダム化比較試験、644人、138個の効果量を統合して検討しました。
結論:効果は「ある」が、かなり小さい
メタ解析の結果、シトルリンマレートを摂取したグループでは、プラセボなどと比較して運動パフォーマンスが有意に改善しました。
効果量は統計的には有意ですが、効果の大きさとしては「小さい」レベルです。
つまり、「飲めばパフォーマンスが劇的に変わる」
というほどの効果ではありません。
イメージとしては、「いつもより少し多く動ける可能性がある」
くらいに考えるのが妥当です。
シトルリンマレートって何?
シトルリンは、体内で一酸化窒素(NO)の産生に関係するアミノ酸です。
NOは血管を広げる働きを持っているため、運動時の血流や筋肉への酸素・栄養素の供給に関係しています。
シトルリンを摂取
↓
体内でアルギニンが増える
↓
一酸化窒素(NO)の産生に関係
↓
血管拡張や血流に影響する可能性
という仕組みが考えられています。
そのため、「トレーニング中のパフォーマンスを高められるのでは?」
と考えられてきました。
どんな運動で効果が期待できる?
今回の研究では、シトルリンマレートによる効果はすべての運動で同じではありませんでした。
特に
・有酸素持久力
・短時間の無酸素運動
では、効果が期待できる可能性が示されました。
例えば
・高強度インターバルトレーニング
・反復運動
・高強度のサーキット
・持久系運動
などでは、パフォーマンスを少し高める可能性があります。
ただし、これらのサブグループ分析は感度分析で結果が一貫しない部分もあり、
「この運動なら確実に効く」とまでは言えません。
筋トレの重量が必ず上がるわけではない
ここは注意したいポイントです。
シトルリンマレートを摂取したからといって、
「ベンチプレスの最大重量が必ず伸びる」
「筋力が確実に上がる」
とは言えません。
今回のメタ解析では、運動パフォーマンス全体としては小さな改善が確認されましたが、すべてのパフォーマンス指標で明確な効果が確認されたわけではありません。
つまり「シトルリン=筋力アップサプリ」と考えるのは少し違います。
疲労感は減るの?
もう一つ興味深いのが「RPE」です。
RPEとは、どのくらいきつく感じたかを数値化したものです。
例えば
RPE 5 → そこそこきつい
RPE 9 → かなりきつい
というように、主観的な運動強度を評価します。
今回のメタ解析では、シトルリンマレートを摂取しても、運動が明らかに楽になったというRPEの改善は、統計的に有意ではありませんでした。
つまり、パフォーマンスは少し改善する可能性があるけど、疲労感そのものが大きく減るとは限らない
という結果です。
飲むなら「運動前」が有望?
今回の研究では、慢性的に毎日摂取するよりも、運動前に単回摂取するという急性摂取のほうが、効果が安定している可能性が示されました。
一般的な研究では
・運動30〜60分前
・シトルリンマレート6〜8g程度
というプロトコルがよく使用されています。
ただし
「6gが最適」
「8gが最適」
「30分前が最適」
といった条件が、このメタ解析によって確立されたわけではありません。
最適な用量やタイミングについては、まだ研究が必要です。
飲めば必ず効くわけではない
今回の研究で非常に重要なのが、エビデンスの確実性です。
GRADEによる評価では、低〜非常に低いとされています。
つまり、シトルリンマレートには効果がありそうとは言えるものの、誰にでも、どんな運動でも、確実に効果がある
と断言できるほどの証拠ではありません。
研究ごとに
・運動種目
・摂取量
・摂取タイミング
・摂取期間
・対象者
などが異なることも、結果を複雑にしています。
シトルリンマレートは飲むべき人は?
効果量は小さいものの、運動パフォーマンスに対してプラスの効果が確認されています。
特に、少しでもトレーニングパフォーマンスを高めたい
という人にとっては、選択肢の一つになります。
ただし、優先順位は間違えないことが重要です。
例えば
睡眠不足
↓
食事が足りない
↓
たんぱく質不足
↓
トレーニングプログラムが不適切
という状態でシトルリンを飲めばパフォーマンスが上がると考えるのは本末転倒です。
筋肥大を狙うなら、まず基本を整える
筋肥大を目的にするなら、優先順位は、
①十分なエネルギー摂取
②十分なたんぱく質
③適切なトレーニング量と強度
④十分な睡眠
⑤継続
⑥必要に応じてサプリメント
です。
シトルリンマレートは、あくまで「最後に追加する補助ツール」と考えるのが合理的です。
まとめ
今回の最新メタ解析では、シトルリンマレートによって運動パフォーマンスが、小さいながらも有意に改善しました。
一方で
・効果量は小さい
・効果には個人差がある
・すべての運動で効果が確認されたわけではない
・RPEは明確に改善しなかった
・最適な摂取量やタイミングはまだ確立していない
・エビデンスの確実性は低〜非常に低い
という点には注意が必要です。
つまり、シトルリンマレートは魔法のパフォーマンスアップサプリではないですが、トレーニング前に使うことで、運動パフォーマンスを少し高められる可能性があるサプリメントとは言えます。
サプリメントは、基本的なトレーニング・栄養・睡眠を整えたうえで、最後の一押しとして考えるのが合理的でしょう。
参考文献
Effects of Citrulline Malate Supplementation on Exercise Performance: A Systematic Review and Three-Level Meta-Analysis. Nutrients. 2026 Jun 11;18(12):1881.
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