暑さに勝つアスリートの準備とは?100マイルレースから学ぶ暑熱対策と栄養戦略
- 髙橋 大翔
- 10 分前
- 読了時間: 5分

札幌市豊平区中の島にあるパーソナルジムR. Physio labスタッフの髙橋です!
今回は暑熱環境下での栄養戦力に関してです!
「夏の大会で後半に一気に失速する」
「暑さで補給が入らず、パフォーマンスが落ちる」
そんな経験はありませんか?
2026年に発表された研究では、世界的な100マイルレース「Western States Endurance Run」に出場したランナーを対象に、暑熱順化・冷却・栄養戦略が調査されました。
この研究は「何をすると速くなるか」を証明したものではありませんが、経験豊富なトップランナーたちが実際に行っていた準備を知ることができます。
暑さに勝つために必要なこととは
対象:2025年 Western States Endurance Run 出場者
種類:質問紙による観察研究
調査内容:暑熱順化、冷却方法、炭水化物・ナトリウム補給、胃腸症状
目的は、極端な暑さの100マイルレースで、経験豊富なランナーがどのような準備をしていたかを明らかにすることです。
90%の選手が暑熱対策を実施していた
最も印象的だった結果は、多くのランナーが暑さへの準備を徹底していたことです。
対策 | 実施率 |
何らかの暑熱準備 | 90% |
暑熱順化・馴化 | 約70% |
10日以上の暑熱トレーニング | 70%以上 |
暑熱順化(体を暑さに慣らすこと)は、発汗量の増加や体温調節能力の向上につながると考えられています。
特に10日以上かけて計画的に暑さへ適応していた選手が多いことは、実践的にも参考になるポイントです。
レース中は「首」を冷やす選手が圧倒的に多かった
暑熱対策はレース前だけではありません。
参加者の92%が、レース中の冷却方法まで事前に計画していました。
主な冷却方法は次の通りです。
首用の冷却具:89%
冷たいタオル:52%
首周囲には太い血管が通っているため、冷却によって体温上昇を抑える目的で利用されています。
重要なのは、当日思いつきで行うのではなく、「どのエイドで、何を使って冷やすか」まで準備していた点です。
速いランナーほど栄養補給計画を作っていた
栄養面でも興味深い結果がありました。
参加者の96%が、本番前に補給戦略をトレーニングで試していました。
さらに、18時間未満で完走したランナーは、全員が炭水化物補給計画を作成していました。
一方で、24〜30時間の完走者では約69%でした。
これは、「補給計画が速くする」ことを証明したわけではありません。
速いランナーは、経験・トレーニング・ペース配分なども優れている可能性があります。
しかし、トップ選手ほど「補給を練習していた」という事実は非常に重要です。
ナトリウムも事前に計画されていた
速い完走者では、ナトリウム摂取量も多い傾向がみられました。
ただし、この研究では最適な摂取量は示されていません。
あくまで、「経験豊富なランナーほど、炭水化物だけでなくナトリウムも含めて計画していた」
という関連が示された結果です。
胃腸トラブルが少なかった理由
100マイルという超長距離にもかかわらず、重度の胃腸症状は比較的少ないと報告されました。
著者らは、その理由として次の可能性を挙げています。
レース前の十分な情報提供
冷却設備や補給所の充実
豊富なレース経験
補給を事前練習していたこと
つまり、「本番で初めて試す」のではなく、トレーニング中に補給を身体へ慣らしていたことが重要だった可能性があります。
アスリートが今日から実践できる4つのポイント
① 暑熱順化は10日以上を目安に始める
大会直前だけではなく、計画的に暑い環境で運動する時間を作ることが大切です。
② 冷却は首・頭部を優先する
ネッククーラーや冷たいタオルは、多くの経験者が実践していた方法です。
③ 補給は「本番前に試す」
炭水化物もナトリウムも、本番で初めて使うのではなく、ロング走や高強度練習でリハーサルしましょう。
④ 当日は計画通りに行動する
暑さで判断力は低下します。
だからこそ、「何分ごとに補給するか」「どのエイドで冷却するか」を事前に決めておくことが重要です。
まとめ
今回の研究から分かったのは、暑熱下で活躍するアスリートほど、
暑熱順化を計画的に行う
冷却方法を事前に準備する
炭水化物とナトリウム補給を練習で試す
という「準備」を徹底していたことです。
この研究は因果関係を証明したものではありませんが、暑い環境で競技を行うランナーや球技選手、持久系アスリートにとって、実践的なヒントが多く含まれています。
暑さ対策は当日ではなく、トレーニング中から始まっています。
参考文献
Heat preparation and nutrition strategies for a 100-mile ultramarathon in extreme heat: A questionnaire study at the Western States Endurance Run. Journal of Science and Medicine in Sport. 2026.
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