座りっぱなしは何分ごとに立つべき?約2万人を調べた最新研究で推奨された「歩く」ことの重要性とは

仕事中、気づいたら2〜3時間ずっと座っていた。
そんな経験はありませんか?
デスクワークだけでなく
テレビを見る
スマホを触る
ゲームをする
車を運転する
など、私たちは思っている以上に長い時間を座って過ごしています。
そこで気になるのが
「何分くらい座ったら、一度動いたほうがいいの?」という疑問です。
30分ごと?
1時間ごと?
それとも2時間ごとでもいいのでしょうか?
2026年に掲載された研究では、19,342人もの成人を対象に
「5分間のウォーキング休憩を、どのくらいの頻度で入れると良いのか?」
を実生活の中で調べました。
その結果、非常に現実的だったのが、「1時間ごとに5分歩く」という方法でした。
今回の研究は何を調べたのか
研究には、19,342人の成人が登録しました。
そのうち実際に介入を開始したのは、11,484人です。
研究では、参加者に普段の生活を送りながら
「座りっぱなしにならないように、定期的に5分間歩く」
ことを実践してもらいました。
期間は2週間です。
そして、歩くタイミングを3つに分けました。
30分ごとに5分歩く
60分ごとに5分歩く
120分ごとに5分歩く
この3つです。
ただし重要なのは、研究者がランダムにグループ分けしたわけではないことです。
参加者自身が、自分ならこのくらいの頻度でできそうという頻度を選びました。
そのため、3つの方法の効果を完全に公平な条件で比較した研究ではありません。
なぜ「5分歩く」なのか
今回の研究では、立ち上がるだけではありません。
休憩中は、快適なペースで5分間歩くように指示されました。
これまでの実験研究では、長時間座り続ける途中に短時間の歩行を入れることで、血糖値などの代謝指標や気分、疲労感などに良い影響が出る可能性が報告されています。
そこで今回の研究では
「実際の生活の中でも5分間の歩行休憩を続けられるのか?」
という、より現実的な部分を調べました。
30分ごとに5分歩くとどうなった?
まず、30分座ったら5分歩くグループです。
今回の3つの中では、最も頻繁に動く方法です。
その結果
疲労感が低下
ポジティブな気分が増加
ネガティブな気分が低下
という改善が確認されました。
心理面の改善については、3つの中でも30分ごとの休憩が比較的大きい結果でした。
つまり、できるだけ頻繁に座りっぱなしを中断することにはメリットがある可能性があります。
でも30分ごとは結構大変
ここで問題があります。
30分ごとに5分歩く生活を想像してみてください。
9時から仕事を始めて、9時30分に5分歩く
10時に5分歩く
10時30分に5分歩く
11時に5分歩く……
となります。
実際に仕事をしている人にとっては、そんな頻繁に休憩できないというケースも多いでしょう。
今回の研究でも、30分ごとのグループは効果が大きかった一方で
「実行しやすさ」は3グループの中で最も低くなりました。
つまり、効果は期待できるでも続けにくいという問題があったわけです。
2時間ごとなら続けやすい
反対に、120分ごと、つまり
「2時間座ったら5分歩く」
方法はどうだったのでしょうか?
こちらは、実行しやすさについて最も高く評価されました。
確かに、2時間に1回だけ5分歩くのであれば、仕事中でも比較的取り入れやすそうですよね。
一方で
疲労感
ポジティブな気分
ネガティブな気分
の改善は、30分・60分ごとの休憩より小さい傾向でした。
つまり、続けやすいけど、効果は少し小さいという結果です。
そこで「1時間ごと」がちょうどよかった
今回、研究者が注目したのが60分ごとに5分歩くという方法です。
30分ごとほど頻繁ではない。
でも、2時間座りっぱなしにもならない。
そして結果を見ると
疲労感の改善
ポジティブな気分の改善
について、意味のある変化の基準を上回りました。
さらに
実行しやすさ
受け入れやすさ
生活に取り入れやすいか
といった評価も良好でした。
つまり、「効果」と「続けやすさ」の両方を考えると
1時間ごとに5分歩く方法が良いバランスだったというのが今回の研究の大きなポイントです。
仕事の邪魔にはならなかった?
ここも気になるところだと思います。
「1時間ごとに5分も歩いていたら、仕事が進まなくなるのでは?」
と思いますよね。
しかし今回の研究では、定期的に歩く休憩を入れたことで、仕事のパフォーマンスが悪化したという結果は確認されませんでした。
むしろ
仕事への集中や取り組み
仕事のパフォーマンス
について、小さな良い変化も確認されています。
ただし、仕事関連の変化については「明確に意味のある改善」と言えるほど大きなものではありませんでした。
そのため、1時間ごとに歩けば仕事の生産性が上がるとまでは言えません。
重要なのは、「定期的に休憩したからといって、仕事に悪影響が出たわけではなかった」
という点です。
休憩した直後にも変化があった
さらに研究では、歩いた直後の気分や疲労感についても調べています。
すると、最近歩く休憩を取ったタイミングでは、休憩していないタイミングと比べて
疲労感が少なく
気分も良い
という傾向が確認されました。
つまり、2週間続けた結果だけではなく
「5分歩いた直後」
にも心理面で良い変化がみられたということです。
なぜ少し歩くだけで違うの?
座っている状態では、脚の大きな筋肉をほとんど使いません。
そこから立ち上がって歩くと
太もも
お尻
ふくらはぎ
などの筋肉が活動します。
さらに、下半身の血流やエネルギー代謝にも変化が起こります。
これまでの研究では、長時間の座位を歩行で中断することで、血糖値などの代謝反応に良い影響が出る可能性も示されています。
ただし注意したいのは、今回の研究で直接調べた中心的な結果は
疲労感
ポジティブな気分
ネガティブな気分
実行しやすさ
などです。
今回の研究だけから
「1時間ごとに5分歩けば血糖値が改善する」
「糖尿病を予防できる」
「寿命が延びる」
とまでは言えません。
血糖値や長期的な病気の予防効果については、別の研究結果と分けて考える必要があります。
まとめ
長時間座って仕事をしている人にとって、
「毎日ジムに行く」
「1時間運動する」
となるとハードルが高いかもしれません。
しかし、「1時間に1回、5分だけ歩く」
なら、取り入れられる人は多いのではないでしょうか。
今回の研究では、こうした短い歩行休憩を入れることで、
疲労感が減る
気分が良くなる
といった変化が確認されました。
さらに、仕事のパフォーマンスを悪化させる明確な証拠もありませんでした。
もちろん、1時間に5分歩けば座りすぎによる病気をすべて防げるという研究ではありません。
また、「60分」という数字が絶対的な正解でもありません。
それでも今回の約2万人規模の研究から、何時間も座り続けるより、定期的に5分程度歩くという非常にシンプルな方法が、実生活でも取り入れやすいことが分かりました。
特にデスクワークの人なら
まずは、「1時間に1回、5分歩く」を一つの目安として考えてみてもよいかもしれません。
参考文献
Diaz KM, Murdock ME, Serafini MA, et al.
Evaluating movement breaks as a public health strategy to mitigate the harms of prolonged sitting: a large-scale pragmatic intervention.
British Journal of Sports Medicine. 2026;60(16):1208-1217.
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