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カフェイン+糖質で運動能力はさらに上がる?



「運動前はカフェインと糖質を一緒に摂ったほうがパフォーマンスが上がる」

アスリートやトレーニングをしている人なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。


実際、カフェインも炭水化物もスポーツ栄養ではよく使われています。

では、2つを組み合わせれば、さらに大きな効果が得られるのでしょうか?


2026年に掲載された3層メタ解析では、カフェインと炭水化物の併用が、高強度インターバル運動のパフォーマンスに与える影響が検討されました。


そもそも「高強度インターバル運動」とは?


高強度インターバル運動とは、


「かなりきつい運動」と「休息または低強度運動」を繰り返す運動です。


例えば


・全力に近い自転車運動→休憩→再び全力

・スプリント→休憩→スプリント

・HIIT

・球技で繰り返されるダッシュ


などが該当します。


サッカーやバスケットボールなど、短時間の高強度運動を何度も繰り返す競技にも関係する能力です。


結論:カフェイン+糖質でパフォーマンスは向上した


今回のメタ解析では、カフェインと炭水化物を組み合わせることで、高強度インターバル運動のパフォーマンスが有意に改善しました。


効果の大きさとしては「小〜中程度」です。


さらに、この効果はトレーニング経験者だけではなく、レクリエーションレベルで運動している人でも確認されました。


ここだけを見ると、やっぱりカフェイン+糖質が最強なのでは?と思いますよね。

ところが、この研究で最も重要なのはここからです。


「カフェイン+糖質」はカフェイン単独より強いのか?


今回の研究では、カフェイン+炭水化物とカフェイン単独も比較しています。


その結果、有意な追加効果は確認されませんでした。


つまり


カフェイン+糖質

パフォーマンス向上


は確認されたものの


カフェイン+糖質

カフェイン単独よりさらに大きく向上


とは言えなかったのです。


「相乗効果というより、カフェインの効果が優位」

と考えるのが近そうです。


なぜカフェインはパフォーマンスを高めるの?


カフェインというと、眠気を覚ますものというイメージが強いかもしれません。


しかし、運動時にも重要な作用があります。

カフェインは脳にある「アデノシン受容体」の働きをブロックします。


アデノシンは、簡単に言えば


「疲れた」

「休みたい」


という感覚に関係する物質の一つです。


カフェインによってその作用が抑えられることで


・覚醒度が上がる

・疲労感が軽減する

・高い運動強度を維持しやすくなる


といった作用につながると考えられています。


つまり、カフェインは筋肉に直接エネルギーを与えるというより、高強度運動を続けるための中枢神経系への作用が重要なのです。


じゃあ糖質は必要ないの?


ここは誤解してはいけません。


今回の研究は、運動に糖質は必要ないと示した研究ではありません。


炭水化物は体内で筋グリコーゲンなどとして蓄えられ、高強度運動を行うための重要なエネルギー源になります。


特に


・長時間のトレーニング

・持久系スポーツ

・1日に複数回トレーニングする

・試合が長時間続く

・筋グリコーゲンが減っている


といった状況では、炭水化物の重要性が高くなります。


今回分かったのは


短時間の高強度インターバル運動で、カフェインと一緒に糖質を摂れば、カフェイン単独以上の相乗効果が必ず得られるわけではない


ということです。


面白い結果「糖質を飲まなくても効果が出る?」


今回の研究では「炭水化物マウスリンス」についても解析されています。


マウスリンスとは、糖質を含む飲料を口に含み、その後飲み込まずに吐き出す方法です。


結果は


【炭水化物マウスリンス+カフェイン】

g=0.91→効果は高め


【炭水化物摂取+カフェイン】

g=0.33→低〜中の効果


でした。


数字だけを見ると、マウスリンスのほうが大きな効果を示しています。


「飲んでないのになぜ?」


と思いますよね。


口の中で糖質を感じるだけでも脳が反応する?


炭水化物マウスリンスが研究されている理由の一つが


口腔内の糖質感知です。


口の中で炭水化物を感知すると、その情報が脳へ伝わり、報酬や運動制御に関係する領域へ影響する可能性が考えられています。


つまり


糖質を口に含む

口腔内で炭水化物を感知

脳がエネルギーの存在を認識

運動パフォーマンスに影響する可能性


という仕組みです。


胃腸に大量の糖質を入れなくても作用する可能性があるため、スポーツ現場でも研究されています。


ただし、今回のマウスリンスに関する研究数は少なく

飲むよりマウスリンスのほうが優れていると結論づけることはできません。


現時点では、興味深い予備的な結果として考えるべきでしょう。


アスリートならどう使い分ける?


今回の結果から考えると、目的によって使い分けるのが合理的です。


例えば


「短時間のHIITや反復スプリント」


であれば、カフェイン単独でも十分なエルゴジェニック効果が期待できる可能性があります。


一方で


「90分の試合」

「長時間の持久系競技」

「1日に複数試合」

「長時間のトレーニング」


などでは、運動中のエネルギー供給や筋グリコーゲンの維持という別の目的で炭水化物を摂取する価値があります。


つまり


「糖質を摂るかどうか」


は、カフェインとの相乗効果だけで決めるべきではありません。


競技時間や運動量、事前の食事状況まで含めて考える必要があります。


「カフェイン+糖質が最強」とはまだ言えない


今回の研究では、カフェイン+炭水化物によるパフォーマンス改善が確認されました。


しかし、エビデンスの確実性はGRADEで「低」と評価されています。


さらに予測区間は


−0.15〜1.03(効果が低いのも高いのもあるということ)


とかなり広くなっています。


つまり


「かなり効く人・状況」


がある一方で、


「ほとんど効果がない人・状況」


も存在する可能性があります。


さらに


・女性参加者が少ない

・研究数が限られている

・カフェイン摂取量が異なる

・炭水化物摂取方法が異なる

・運動プロトコルが異なる


といった問題もあります。


したがって


「カフェインと糖質を一緒に摂れば誰でもパフォーマンスが大幅に上がる」


とは言えません。


トレーニング前に大切なのは「目的」を決めること


サプリメントや栄養戦略では、


「とりあえず全部摂る」


よりも


「何のために摂るのか?」


を考えることが重要です。


高強度運動のパフォーマンスを少し高めたい

→ カフェイン


長時間運動のエネルギーを確保したい

→ 炭水化物


胃腸への負担を減らしながら高強度運動をしたい

→ 炭水化物マウスリンスが選択肢になる可能性


というように、目的によって戦略は変わります。


まとめ


「カフェイン+炭水化物」

によって、高強度インターバル運動のパフォーマンスが小〜中程度改善しました。


しかし、カフェイン単独と比較すると、炭水化物を追加することによる有意な上乗せ効果は確認されませんでした。


つまり今回の研究からは、カフェインと糖質の相乗効果というより


「主なパフォーマンス向上効果はカフェインによる可能性が高い」


と考えられます。


ただし、これは「糖質が不要」という意味ではありません。


長時間運動や複数セッション、筋グリコーゲンが減少する状況では、炭水化物は依然として重要なエネルギー源です。


大切なのは、


「カフェインと糖質をセットで摂れば最強」


と考えるのではなく、


競技時間・運動強度・エネルギー状態・胃腸の状態などに合わせて使い分けることです。



参考文献


Synergy or Dominance? The Ergogenic Effects of Caffeine and Carbohydrate on High-Intensity Interval Exercise Performance: A Three-Level Meta-Analysis.

Nutrients. 2026 Jun 10;18(12):1868.



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