試合・トレーニングのリカバリー、結局どれが一番効くのか。トップバスケ選手で比較した最新研究
- 髙橋 大翔
- 2 日前
- 読了時間: 6分
更新日:16 時間前

札幌市豊平区中の島にあるパーソナルジムR. Physio labスタッフの髙橋です!
今回は「リカバリー」に関して解説しようと思います!
「練習や試合の後、アイシングと軽い運動、どちらでリカバリーすべきか」
「プロテインを飲めば筋肉痛は軽くなるのか」
こうしたリカバリー戦略の選び方に迷ったことがあるアスリートは多いのではないでしょうか。
2026年2月に発表されたスペインのトップリーグ所属バスケットボール選手を対象にした研究では、複数のリカバリー方法を同じ条件下で比較し、それぞれの得意分野が明らかになりました。今回はその内容を、トレーニングをしている方にもわかりやすく解説します!
どのリカバリーが最も効果的なのか
この研究では、スペインの3部相当リーグに所属する男子バスケットボール選手15名を対象に、以下の4つのリカバリー方法が比較されました。
冷水浸漬(アイシング):11℃の冷水に2分間浸かり、2分間休むというサイクルを5回繰り返す方法
アクティブリカバリー:最大心拍数の50%程度の強度で、自転車を25分間漕ぐ方法
プロテイン+炭水化物の補給:運動後にホエイプロテインとマルトデキストリンを混ぜた飲料を摂取する方法
プラセボ(対照群):何も効果のない飲み物を摂取するだけの条件
同じ選手が、1週間ごとに全ての条件を試すという、信頼性の高い実験デザイン(クロスオーバー試験)が採用されています。
参加者は、ディフェンスのステップ、ドリブルからのカッティング、レイアップ、ジャンプ、スラロームなど、バスケットボールの実戦的な動きを組み合わせた疲労誘発プロトコルを最大努力で行い、その直後に、それぞれのリカバリー方法を試しました。
そして、筋肉のダメージを示す指標(血中のクレアチンキナーゼ)、主観的な疲労感、10mスプリント、4×10mのシャトルラン、ジャンプ力、筋力などを、運動直後・リカバリー直後・24時間後というタイミングで細かく測定しています。
結果:アイシングが最も効果的だった
結果として、4つの中で最も効果が高かったのは、冷水浸漬(アイシング)でした。
【筋肉のダメージについて】
運動後、筋肉のダメージを示す血中のクレアチンキナーゼの値は、どの条件でも一時的に上昇しました。しかし24時間後の値を比較すると、冷水浸漬・アクティブリカバリー・プロテイン補給のいずれも、何もしなかった場合と比べて、上昇の幅を抑えられていることがわかりました。
【主観的な疲労感について】
冷水浸漬・アクティブリカバリー・プロテイン補給のいずれも、リカバリー直後の疲労感を明確に下げていました。一方、何もしなかった条件では、疲労感が高いまま維持されていました。中でも冷水浸漬は、リカバリー直後の時点で最も早く疲労感を下げる効果を示しています。
【実際の運動パフォーマンスについて】
ここが今回の研究で特に注目すべき点です。
冷水浸漬だけが、24時間後の4×10mシャトルラン(素早い切り返しを繰り返す種目)のタイムを、統計的にも意味のある形で改善させていました。
さらに、10mスプリントやジャンプ力についても、統計的な有意差には届かなかったものの、改善する方向への傾向が見られています。
一方、アクティブリカバリーとプロテイン補給については、筋肉のダメージや疲労感の軽減には役立っていたものの、実際の運動パフォーマンス(スプリントやジャンプ力)への上乗せ効果までは、はっきりと確認されませんでした。
なぜアイシングが効果的なのか
研究チームは、冷水による血管の収縮が静脈圧を高め、疲労物質の除去を助けている可能性や、筋肉の温度が下がることで代謝活動が抑えられ、二次的な筋肉のダメージを軽減している可能性を挙げています。
一方、アクティブリカバリーについては、今回採用された25分間という比較的長い時間が影響した可能性も指摘されています。
過去の研究では、6〜10分程度の短時間のアクティブリカバリーの方が、主観的な回復感の向上に効果的とされており、今回のような長めの設定は、選手によっては「余計に疲れる」と感じてしまう可能性があるとのことです。
現場で使える形にすると
この研究が示す実践的なメッセージは、次のように整理できます。
できるだけ早く動けるようになりたい場面(中2日の連戦、翌日の練習を控えている場合など)では、冷水浸漬が最も頼りになる選択肢
プロテイン補給やアクティブリカバリーは、パフォーマンスへの直接的な上乗せ効果は限定的なものの、疲労感や筋肉のダメージを抑える効果は期待できるため、何もしないよりは確実に有効
何もしない(パッシブな回復のみ)状態は、疲労も筋肉のダメージも長く残りやすい
つまり、「アイシングか、それとも他の方法か」ではなく、目的に応じて複数の方法を使い分けるという発想が現実的です。翌日にすぐパフォーマンスが必要な場合は冷水浸漬を優先し、栄養補給やアクティブリカバリーはそれを補う形で組み合わせるのが良さそうです。
研究の限界
この研究は「パイロット試験」と位置づけられており、対象人数は15名と少なく、統計的な検出力にも限りがあります。
また対象は男性のトップアマチュア選手のみであり、女性選手や他の競技、異なる競技レベルの選手にそのまま当てはまるとは限りません。
研究チーム自身も、今回の結果は今後より大規模な研究で確認していく必要があると述べています。
まとめ
今回紹介した研究では、冷水浸漬・アクティブリカバリー・プロテイン補給のいずれも、何もしない場合と比べて、疲労感や筋肉のダメージの軽減に役立つことが示されました。
中でも冷水浸漬は、疲労感の軽減だけでなく、翌日の実際のパフォーマンス(素早い切り返し動作)の回復にも効果を示した、唯一の方法でした。
試合や強度の高い練習の後、どのリカバリー方法を選ぶか迷ったときは、「早く動けるようになりたいのか」「疲労感を和らげたいのか」という目的に応じて、これらの方法を使い分けてみることをおすすめします。
参考文献
Marín-Galindo A, Perez-Bey A, Escudier-Vázquez JM, Velázquez-Díaz D, Calleja-González J, Vaz-Pardal C, Corral-Pérez J, Ponce-Gonzalez JG. Acute Effects of Nutritional and Physical Recovery Strategies on Exercise Performance, Muscle Damage, and Fatigue in Elite Basketball Players: A Pilot Randomized Crossover Trial. Life (Basel). 2026 Feb 5;16(2):275. https://doi.org/10.3390/life16020275
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