ストレッチは「長くやればいい」は間違い?科学が示す“柔軟性が最も伸びる”最適な静的ストレッチ量
- 髙橋 大翔
- 1 日前
- 読了時間: 5分

「ストレッチはどのくらい行えば柔らかくなるのか?」
そう考えたことは皆さんありますよね。
これまで発信してきた情報としては
・30秒以上は伸ばして
・筋トレもストレッチと同様の柔軟性向上効果がある
ということがメインだったと思います。
今回は少し違います。
2025年に発表された大規模システマティックレビュー&メタ解析では、静的ストレッチには“最も効率よく柔軟性が向上する適量”が存在することが明確に示されました。
本記事では、
ストレッチはどれくらいやれば十分なのか
1回と継続(習慣)で効果はどう違うのか
年齢や性別、強度は関係あるのか
といった疑問を、研究結果をもとに分かりやすく解説します。
過去最大級のストレッチ研究の見解とは?
この研究では、以下のような非常に大規模なデータが解析されています。
対象者:18歳以上の成人
研究数:189研究
参加者数:6,654名
研究デザイン:ランダム化・非ランダム化試験を含む
解析手法:多層(マルチレベル)メタ解析
評価された指標
関節可動域(ROM)
柔軟性の変化
そして重要な点として、「1回のストレッチ効果(急性)」と「継続したストレッチ効果(慢性)」を明確に分けて分析しています。
ストレッチは本当に効く?|全体的な効果
① 1回のストレッチでも効果はある(急性効果)
単回の静的ストレッチによる柔軟性改善は、
効果量: 0.63
中等度の改善
つまり、「1回ストレッチしただけでも、柔軟性は確実に向上する」という結果です。
② 継続すれば、さらに大きな改善が得られる(慢性効果)
数週間〜数か月にわたって継続した場合、
効果量: 0.96
大きな改善効果
が認められました。
この結果から、ストレッチは“やった分だけ積み上がる習慣型の運動”であることが、科学的にも裏付けられています。
最も重要なポイント|ストレッチの「最適量」
① 1回あたりの最適量(急性)
研究のメタ回帰分析から、
1セッションあたり→ 1筋群につき「合計約4分」
で柔軟性改善が最大化されることが分かりました。
それ以上長く伸ばしても、
効果がゼロになるわけではない
ただし追加の改善はごくわずか
つまり、「4分を超えるとコスパが急激に下がる」というイメージです。
② 週間トータルの最適量(慢性)
継続的なストレッチでは、
週あたり→ 1筋群につき「合計約10分」
付近で効果が頭打ちになります。
毎日長時間ストレッチをしなくても、週10分を安定して確保できれば十分という、非常に実践的な結論です。
③ 現場で多いストレッチは、実は理にかなっていた
解析された研究で最も多かった設定は、
1種目30秒 × 3セット
合計:約2.5分/筋群/1回
これは多くのジムや部活動で行われている方法ですが、結果的に科学的にも妥当なボリュームだったことが示されています。
ストレッチ効果に影響する・しない要因
ストレッチ効果に影響しなかったもの
意外にも、次の要因は効果にほとんど影響しませんでした。
「痛い」「強い」と感じるストレッチ強度
年齢
性別
トレーニング経験の有無
セッション頻度や介入期間
つまり、無理に痛みを我慢したり、毎日やる必要はないということです。
効果に影響した要因
一方で、明確に影響したのは以下の2点です。
① 元々の柔軟性
硬い人ほど改善幅が大きい
これは、柔軟性が低い人ほど「伸び代」が大きいためです。
② 筋群の違い
急性効果ではハムストリングス > 脊柱(背骨周辺)
脚の筋肉はストレッチ効果が出やすく、背骨周辺は構造的制限や測定誤差の影響を受けやすいと考えられています。
実務・日常生活での活かし方
柔軟性向上を目的とした静的ストレッチは、
✔ 目安はこれで十分
1回:1筋群あたり合計4分まで
1週間:1筋群あたり合計10分程度
✔ 重要なのは
強度を上げることではなく
頻度を増やすことでもなく
「硬い部位に、適切な量を、継続すること」
です。
まとめ|ストレッチは「量より最適化」
この研究が教えてくれる最も大切なメッセージは、
ストレッチは“長くやるほど良い”のではなく、“適切な量を超えると効率が落ちる”
ということです。
忙しい日常の中でも、短時間・適量・継続を意識することで、柔軟性は十分に改善できます。
「なんとなく長く伸ばすストレッチ」から、「科学的に効率の良いストレッチ」へ。ぜひ今日から実践してみてください。
引用文献
Lewis A. Ingram, et al.Optimising the Dose of Static Stretching to Improve Flexibility: A Systematic Review, Meta-analysis and Multivariate Meta-regression.2025.
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