β-アラニン単体は効かない? “重炭酸ナトリウム”の併用がポイントか
- 髙橋 大翔
- 2 日前
- 読了時間: 5分

「β-アラニンはパフォーマンスが上がる」
「乳酸耐性が強くなる」
そんな話を聞いたことがある人は多いと思います。
実際、
β-アラニン(BA)はスポーツサプリとしてかなり人気です。
しかし今回の研究では、
“高度に鍛えられた女子バスケットボール選手”
を対象に調べたところ、
「β-アラニン単独では明確な効果が出なかった」
一方で、
“重炭酸ナトリウム(SB)”
を含むグループでは、
高強度パフォーマンス改善がみられました。
今回はこの研究を、
一般の人にも分かりやすく解説していきます。
■ そもそもβ-アラニンって何?
β-アラニンは、
筋肉内の
「カルノシン」
を増やす材料になるアミノ酸です。
カルノシンには、
“筋肉内の酸性化を抑える”
働きがあります。
つまり、
高強度運動で起こる
「キツさ」
「焼ける感じ」
を軽減しやすくなると言われています。
■ 重炭酸ナトリウムって何?
一方、
重炭酸ナトリウム(SB)は、
いわゆる「重曹」です。
身体の外側(血液側)で、
酸を中和する働きがあります。
つまり、
β-アラニンは
“筋肉内”
重炭酸ナトリウムは
“血液側”
で、
酸性化を抑えるイメージです。
■ この研究は何を調べた?
研究対象は、
高度にトレーニングされた女子バスケットボール選手68名。
4グループに分けられました。
【1】
β-アラニン+重炭酸ナトリウム
【2】
β-アラニン+プラセボ
【3】
重炭酸ナトリウム+プラセボ
【4】
両方プラセボ
β-アラニンは、
6.4g/日を28日間。
最後の7日間に、
重炭酸ナトリウム 0.3g/kg/日を追加しました。
そして、
・Wingateテスト(無酸素パワー)
・ジャンプ
・自転車運動
・心拍数
・主観的きつさ(RPE)
などを比較しました。
■ 結果①:重炭酸ナトリウム群でピークパワー向上
結果として、
“重炭酸ナトリウムを含む群”
では、
Wingateテスト1回目のピークパワーが有意に向上しました。
つまり、
「瞬間的な高出力」
が出しやすくなったということです。
これは、
バスケットボールのような、
・ダッシュ
・切り返し
・ジャンプ
・速攻
を繰り返す競技ではかなり重要です。
■ 結果②:β-アラニン単独では明確な改善なし
一方で、
β-アラニン単独群では、
明確なパフォーマンス向上は確認されませんでした。
これは少し意外に感じる人もいると思います。
ただし、
β-アラニン研究はかなり結果がバラつきます。
理由としては、
・競技特性
・被験者レベル
・摂取期間
・元々のカルノシン量
などが関係すると考えられています。
■ なぜ重炭酸ナトリウムが効いた?
高強度運動では、
水素イオン(H+)
が増え、
筋肉が酸性に傾きます。
これが、
「脚が焼ける」
「動けなくなる」
原因の1つです。
重炭酸ナトリウムは、
この酸を血液側で中和し、
“疲労を遅らせる”
可能性があります。
特に、
1〜3分前後の高強度運動
で効果が出やすいと言われています。
■ 併用では心拍数も低下していた
さらに、
β-アラニン+重炭酸ナトリウム群では、
段階的運動中の平均心拍数が低下しました。
これは、
“同じ運動強度でも身体への負担が軽かった”
可能性を示しています。
つまり、
「少し余裕を持って動けた」
状態に近いかもしれません。
■ ただし“万能サプリ”ではない
重要なのはここです。
今回の研究でも、
・体重
・体組成
・主観的きつさ(RPE)
は変化していません。
つまり、
「飲めば全部変わる」
わけではありません。
特に、
サプリ効果は、
“競技特異性”
がかなり大きいです。
■ 重炭酸ナトリウムの注意点
SB(重炭酸ナトリウム)は、
効果がある一方で、
・胃痛
・下痢
・膨満感
など、
胃腸トラブルもかなり多いサプリです。
そのため、
試合当日に初めて使う
のは危険です。
必ず、
練習で試す必要があります。
■ この研究から分かること
今回の研究では、
・β-アラニン単独
よりも、
・重炭酸ナトリウム
の方が、
高強度パフォーマンス改善に寄与していました。
特に、
「短時間高強度を繰り返す競技」
では、
血液側のバッファ能力(酸処理能力)が重要なのかもしれません。
■ まとめ
今回の研究では、
高度に鍛えられた女子バスケットボール選手において、
・重炭酸ナトリウムを含む群でピークパワー向上
・運動中の心拍数低下
・β-アラニン単独では明確効果なし
という結果が示されました。
つまり、
「β-アラニンは万能」
ではなく、
競技特性や状況によって、
効果が変わる可能性があります。
また、
重炭酸ナトリウムは、
高強度反復競技では有効な可能性がありますが、
胃腸トラブルなど個人差も大きいため、
慎重な導入が必要です。
サプリは、
魔法ではなく、
“競技特性と目的に合わせて使い分ける”
ことが重要なのかもしれません。
引用文献
Effects of Combined Versus Isolated Beta-Alanine and Sodium Bicarbonate Supplementation on Physical Capacity in Highly Trained Female Basketball Players: A Randomized Controlled Trial.
Int J Sports Physiol Perform. 2026 Mar 12:1-9.
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