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執筆者の写真髙橋 大翔

筋力増強を目的としたトレーニングデザイン



皆さんこんにちは!

本日は筋力増強に関して解説します!

前回筋力増強に関して解説して時は、筋力増強に効果的な成分のお話をしました。


まだそちらをご覧いただいてない方はそちらも合わせて読んでみてくださいね!



そして今回は、トレーニングの方法について解説しようと思います。

結局はこの部分を押さえておかないと、いくら筋力増強効果のある成分を摂取してもその時だけの話になってしまいます。


筋力増強は筋トレをしている人なら誰でも必要になる項目ですので、是非最後まで読んでみてください!



筋肥大と筋力増強の違い

まずはこの基礎的な部分からおさらいしましょう。

皆さんの中に筋肉を大きくする→筋力も強くなると思っている人はどのくらいいるでしょう?

これは微妙に間違っている理論でして、筋肉の大きさと筋力の関係は50~60%ほどしかないようです。


ということは、ある程度筋肥大を進めていくと、そこから先はいくら筋肉を大きくしても筋力が伸びていくことはなくなるということになります。


私たちが身体を動かす時には脳から脊髄に電気信号が届き、それがさらに筋肉に伝わることで運動が可能になります。

この神経が働く、興奮するということが筋力であり、筋力を上げるにはこの神経の興奮を強める必要があるということになります。


つまり、神経が成長するようなトレーニングをする必要があるということですね。



神経が成長するトレーニングとは

まず重要なのは筋トレの「強度」です

どのくらいの負荷でトレーニングを行うのかによって筋肉の発達する能力は変わってきます。


2017年にトレーニングの負荷量による筋力増強の効果に関して研究が発表されまして、21の研究を分析して筋力増強にはどの程度の負荷量が最も効果的なのかについて調査しました。


結果は、高負荷でのトレーニングが重要であると報告しています。

ここで筋肥大には中強度、筋力には高強度というものが分けられます。


そしてさらに具体的な負荷量については2020年の研究で明らかになっていまして、研究の対象者は1年以上のトレーニング経験がある人になっているので、筋トレ初心者はもちろん筋トレ中級者以上の方にも参考になる研究だと思います。


そして結果ですが、最も効果が得られる負荷は1RM(1回持ち上げるのが限界の重さ)90%で、筋力増強効果が欲しい場合は最低でも1RM70%でのトレーニングが必要であるということが報告されています。


つまり3回持ち上げるので限界という重さでトレーニングすることが最も筋力増強に効果的で、最低でも12回で限界が来る重さでトレーニングしましょうということです。


筋トレ初心者などは3回が限界の負荷でトレーニングを行うのはとても怪我のリスクが上がってしまいますので、5回が限界の負荷でトレーニングをすると怪我も最小限に抑えられながら筋力増強の効果はしっかりと得られると思いますので、是非参考にしてください!


具体的なトレーニングプログラム

高強度のトレーニングはトレーニング後の神経疲労が著しいです。

高強度トレーニング後の神経疲労は1週間以上続くという知見もあるくらいでして、この状態では筋力低下が起こり、筋力増強トレーニングを行うのは難しいということになります。


この情報を知らずに高負荷で筋力増強!と意気込んでしまうと、トレーニングの継続が難しくなっていきます。


この神経疲労を考慮しながら筋力増強を促進していくために重要なのが「ピリオダイゼーション」の考え方です。


ピリオダイゼーションとは、短期的・長期的にトレーニングの計画をすることを言います。

単純に筋トレを行っていても、最初は筋肥大・筋力増強がみられても徐々に変化というのは減少していきます。


そのためピリオダイゼーションを用いて年単位でトレーニングをプログラムしていくことが重要になるのです。

ピリオダイゼーションと筋力の関係については2022年のメタアナリシス論文が発表されており、35の研究を分析し、筋肥大に関してはピリオダイゼーションよりも筋トレボリュームの積み重ねが重要だと報告されていますが、筋力増強に関してはピリオダイゼーションを使用した方が有意に筋力増強が起こったと報告されています。


具体的には2014年に筋トレ歴7年のパワーリフター9名を対象にした研究で、研究機関を16週間に設定し、行う種目はBIG3(ベンチプレス・スクワット・デッドリフト)です。


これらを5つのフェーズに分けまして


  1. 1~4週目:1種目10セット、1セット6回、セット間休憩3~5分、1RM65%

  2. 5~8週目:1種目8セット、1セット4回、セット間休憩3~5分、1RM75%

  3. 9~12週目:1種目6セット、1セット4回、セット間休憩3~5分、1RM80%

  4. 13~14週目:1種目6セット、1セット2回、セット間休憩3~5分、1RM90%

  5. 15週目:1種目6セット、1セット1回、セット間休憩3~5分、1RM95%

  6. 16週目:1種目4セット、1セット4回、セット間休憩3~5分、1RM70%


という4週間おきに少しずつ負荷を上げていくというピリオダイゼーションを用いて研究が行われています。

そして結果は、ピリオダイゼーションを使用しないグループと比較し、ベンチプレス30%、スクワット34%、デッドリフト77%も筋力が向上したのでした。


あくまで一つのプログラムの組み方にはなりますが、かなり参考になると思います。

是非参考にして筋力増強を最大化させてみてください!

*ピリオダイゼーション*

準備期:中強度高ボリュームのトレーニング

積極期:高強度中ボリュームのトレーニング

ピーク期:高強度低ボリュームのトレーニング

ディロード期:中強度低ボリュームで回復


これらを繰り返す方法



筋肥大をしながら筋力増強を狙う方法

先ほどの解説したピリオダイゼーションをパターン1とするならば、これからパターン2を解説します。

パターン1はとにかく筋力増強に特化していますので、筋肥大の効果に関しては通常のトレーニングよりもかなり低いと思います。


パターン2では筋肥大をさせながら筋力増強も狙う方法です。

簡単にいうと、1週間に1回高強度のトレーニングを取り入れるという方法になります。


普段は10回で限界が来る負荷でのトレーニングをしていても、週に1度だけ5回で限界が来るふかでのトレーニング行うことで、極端に神経疲労を起こさずにトレーニングを継続できますし、普段のトレーニングで扱う重量も増加していくので筋トレのボリューム自体も上がっていきます。


また筋力増強が起こりやすい種目もコンパウンド種目(複数の関節が動く)だとされていますので、その部分は筋肥大目的のトレーニングでも同様かと思います。


やはりBIG3のような種目はマストで行うことが推奨されますので、筋トレ上級者まで自分はいかないなという人は是非参考にしてください!!




【参考文献】

Brad J. Schoenfeld, et al. Strength and hypertrophy adaptations between low- vs. high-load resistance training: A systematic review and meta-analysis. Brief Review. 2017


Patroklos Androulakis-Korakakis, et al. The minimum effective training dose required to increase 1RM strength in resistance-trained men: A systematic review and Meta-analysis. Sports Med. 2020



Gustavo Allegretti Joao, et al. Effect of 16 weeks of periodized resistance training on strength gains of powerlifting athletes. Jounal of Exercise Physiology. 2014 Jun




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